2014年12月、Raffaelloを創設する時、私たちはバングラデシュのダッカに向かいました。
どんな人が私たちの商品を作ってもらうのか?それをきちんと知るためです。
初めてダッカの空港に着いた時は本当に薄暗い空港の中で、これから何が起きるのかわからない期待がありました。
友人に紹介された工房をいくつか回るうちに、ニックという情熱的な職人と出逢いました。
「最高のものを作りたいんだ!イタリアで修行をしてきて、故郷のここで花を開きたいし、いいものをここで作りたいし、たくさん雇用を産みたいんだ!」
彼の目はおじさんなのにキラキラと輝いて、希望に燃えていました。
丸一日、お昼は美味しいパスタを作ってくれたのでついつい、話し込みました。
日本から持参したイメージのスケッチやブライドルレザーを見せて、
「こんな古くからの伝統的なものは作るの大変だよね」
と聞くと、
「この国で他に作れる人は居ないと思うけど俺はやってみるさ!」
と、快く伝えてくれました。
1ヶ月後、ニックからの小包が届き、期待以上のものを届けてくれ、
私たちは彼と仕事をすることに決めました。
もともとうるさいお客様に囲まれていたニックでしたが、私たちも相当うるさい顧客だったようで、しょっちゅうバングラデシュに足を運ぶことになりましたが、その中でもストリートチルドレンたちを見ると、胸が苦しくなりました。
「ニック、ストリートチルドレンはいつ減るの?」
と聞いたところ
「そりゃあ、街が綺麗になることじゃない。バングラデシュが豊かになることさ。日本のような伝統あるものづくりで一番の国になることだね!」と。
ニックはそこで、子供の貧困は、親の貧困や教育の不均等にあると私たちに車を運転しながら教えてくれました。特に、バングラデシュでは宗教上の理由で離婚すると女性は社会参加が難しく、貧困になるということも…
彼はイタリアに住んでいたので、豊かな国の子供達や親がどんなものであるかよく知っていました。そこで、私はある依頼をしました。
「それなら、なるべくシングルマザーをアシスタントに雇ってくれないかな?もちろん腕の良い人がいいけど」
「おう、そうだね!おれも同じことを考えていたよ」
Raffaelloが素敵な商品を作り、お客様にお買い上げいただくほど、このシングルマザーたちは仕事を得られ、彼女たちの子供たちを救うことに繋がります。また、純利益の10%をバングラデシュの子供達への教育をしているNGOへ寄付することを決め、少しでもRaffaelloの商業活動が、不平等を解消していくゴール達成へ近づけたいのです。
Raffaelloの活動で達成を狙うゴールは
1.貧困を無くそう
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等
8. 働きがいも経済成長も
10.人や国の不平等をなくそう
withコロナと共に、「SDGs達成」という概念がやっと、日本でも盛んに生まれてきました。代表である私はSDGsについて大学院で研究をしてきました。一人では途方に暮れてしまうほどのことですが、なによりも、多くの仲間とパートナーを組んで、現代のテクノロジーを使って実現していくことが現実的だと考えています。
Raffaelloでも、社内の使用電気は再生エネルギーを利用し、チラシなどもグリーンプリンティングを採用しています。また、国内でもシングルマザーの事務チームに業務を委託しております。
私たちはブランド創業時より「ノブレスオブリージュ」という考え方をベースにしています。
富める物は責任を背負うという意味ですが、この国には貴族はいません。それでも、私たち一人一人が力を合わせると、かつての貴族以上の社会への影響力を持っていると信じています。
ただの「消費」ではなく、この商品を買うことで「誰を、何を、どんな未来を応援しているのか」をRaffaelloでは選択できる方を増やしていくことも大事な理念の一つです。
SDGs達成自体は難しいことに思えても、一人一人の選択の力を合わせると大きなパワーを持ちます。お客様がRaffaelloの商品を選択してくださることで、強く意識せずとも未来の誰かを助ける選択をなさっていることこそが一流の証なのだと強くお伝えしていきたいです。
未来へと続く、サステイナブルへの絶対的な正解はまだありません。それでも、私たちのブランドをお選びいただくことで、世界の不均衡をなくしていく。カーボンニュートラルに協力している。
このSDGs達成の活動をお客様と行っていくという意味からも、喜んで選ばれるブランドに、そして、ニックの言葉を借りると「世界一の革職人になりたいんだ!」と願っています。